SEO対策の見積もりの見方|項目別の内訳と相見積もりで比べる点

同じSEO対策の見積もりでも、コンサルティングの月額から書き始める会社と、記事制作の本数から書き始める会社では、比べている中身が違います。合計金額だけを並べても、作業範囲の違いは見えません。そのため、どちらが割安なのかも金額の差の理由も、社内で説明できません。
SEO会社の見積もりを比べ、金額の差を社内で説明する必要がある担当者向けに、見積書の項目の読み方と契約前の確認点を解説します。費用相場の数字は別の記事にまとめているため、この記事では扱いません。
SEO対策の見積書に並ぶ主な項目

SEO対策(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)の見積書は会社ごとに書式が違います。並ぶ項目を中身で分けると、次の7つです。
| 項目 | 主な中身 | 妥当かを判断するために聞くこと |
| 初期費用 | 現状分析・競合調査・キーワード設計 | 分析結果を報告書として受け取れるか |
| コンサルティング費 | 毎月の改善提案と方針の見直し | 月に何を何件提案し、どれから実施するかの優先順位と理由を示すか |
| 内部対策費 | titleや見出し、サイト構造の修正 | 提案だけか、修正作業まで含むか |
| 記事制作費 | 構成案・執筆・入稿 | 1本あたりの文字数と、取材や図解の有無 |
| 被リンク関連費 | 外部サイトからのリンクや言及を増やす施策 | どのサイトに、どういう方法で働きかけるか |
| ツール費 | 順位計測や分析ツールの利用料 | 契約終了後もデータを受け取れるか |
| レポート・定例会 | 月次報告と打ち合わせ | 報告の頻度と、見る指標は何か |
表のうち一式としか書かれていない行は、どの作業にいくらかかるのかを読み取れず、他社と比べられません。内訳を出してもらってから比べます。
Googleも、SEO業者から監査の提案を受けたときの注意点として、業者は改善内容を現実的に評価したうえで関連する作業の見積もりを示すべきだと案内しています。
金額差が生まれる3つの理由

見積額の差を生む理由のうち、見積書で読み取りたいのは作業範囲、記事の本数と作り方、被リンク施策の3つです。
作業範囲が提案までか修正までか
見積もりを比べる前に、Webサイトの修正作業まで含むのかを各社に聞きます。改善提案だけの見積もりは安く見えても、修正は別に必要です。社内で直すなら担当者の手間が、制作会社に頼むならその費用がかかります。
記事の本数と1本あたりの作り方
記事制作の金額は本数だけでは決まりません。構成案の作成や専門家への取材、図解の作成、Webサイトへの入稿まで含むかによって変わります。
見積書に記事4本とだけ書かれている場合は、1本の想定文字数と含まれる工程を書き出してもらいましょう。工程をそろえたうえで、1本あたりの金額を比べます。
被リンク施策の有無と中身
外部サイトからのリンクを増やす施策で、Googleのポリシーに反するかを分けるのは、リンクをどう得るかです。Googleは、検索順位を上げる目的でリンクを売買する行為をスパムポリシーで禁じています。
違反したサイトは掲載順位が下がったり、検索結果に表示されなかったりすることがあるとも説明しています。
見積書に被リンク10本のように本数と単価だけが並んでいる場合は、どのサイトからどういう方法でリンクを得るのか、各社に説明を求めてください。
▶︎関連記事:SEO外部対策とは?被リンク獲得の方法とやってはいけないNG施策を解説
成果報酬型の見積もりで確認すること

成果報酬型は、決めた成果に届いたときに費用が発生する料金体系です。見積書の金額だけでは実際の支払総額がわからないため、次の5つを契約前に文書で決めます。
- 成果の定義と課金の単位:何位以内に入ったら成果とするのか、1位と10位で金額が変わるのかを決めます。達成した日数に日額を掛けるのか、月に1度でも達成すれば月額がかかるのかも聞き、請求額の計算例を出してもらいます。
- 対象キーワード:検索数の少ない語だけを対象にすると、順位は上がっても問い合わせにつながらない場合があります。候補ごとの検索数に加えて、その語で探す人が自社の商品やサービスに問い合わせる理由があるかを各社と話し合います。
- 順位の計測方法:どのツールで、どの地域とどの端末を基準に、毎日測るのかを決めます。
- 支払いの上限額:多くのキーワードで同時に成果が出たとき、月の請求がいくらまで膨らむのかを聞きます。
- 初期費用と最低契約期間:成果報酬とは別に初期費用などの固定費がないか、最低何か月の契約が必要かを確かめます。
計測方法を決める理由は、検索結果が見る人によって変わることがあるためです。Googleは、ユーザーの位置情報や過去の検索履歴、検索設定などを使って、その時点で関連性の高い情報を判断していると説明しています。
担当者のパソコンで見た順位とSEO会社のツールで測った順位は食い違うことがあるので、どちらの数字で判定するかまで契約書に書き込んでください。
相見積もりの取り方と比べるときにそろえる条件
相見積もりは2〜3社から取ります。各社に渡す情報がそろっていないと、それぞれが違う前提で提案を出してきて、同じ条件で金額を比べられません。依頼の時点で次の情報を1枚にまとめ、同じものを各社に送りましょう。
- SEO対策の目的と、問い合わせや資料請求などの目標
- 対策したいページと、狙いたいキーワードの候補
- 月額の予算の上限と、契約できる期間
- 記事の執筆やサイトの修正のうち、社内で担える作業
見積書を受け取ったら、まず税込か税別かをそろえます。初期費用の有無や月額料金が違う会社どうしを比べる単位は、6か月や1年など同じ検討期間で出した総額です。
総額には初期費用・月額費用・追加費用を含め、修正を制作会社へ別に頼む場合はその費用も加えます。仮の数字で計算すると、初期費用40万円・月額15万円の会社は6か月の総額が130万円です。
初期費用なし・月額20万円の会社は120万円になり、月額だけを見たときと安い順が逆転します。最低契約期間と途中で解約したときの支払額も、総額とは別の欄に書き出してください。予定より早く契約を終える場合の負担まで比べられます。
見積もりが高いか安いかを判断する目安

同じ月額でも、作業範囲と記事の本数が違えば中身が別物なので、見積もりの高い安いは相場の数字だけでは決められません。施策別の相場の目安は、次の記事にまとめています。
▶︎関連記事:SEO対策の費用相場はいくら?施策別の料金・外注vs内製の選び方を徹底解説
社内で説明するときは、相場との比較に加えて、1件の問い合わせにいくらまで払えるかから逆算すると、判断の基準をそろえられます。仮に、1件の受注で得られる粗利が100万円で、問い合わせ5件のうち1件が受注につながる会社があるとします。
この会社の問い合わせ1件あたりに見込める粗利は、100万円を5で割った20万円です。この条件なら、SEOで増えた問い合わせが月1件あれば、月額20万円の見積もりはその月の費用と期待できる粗利が釣り合う計算になります。
実際には自社の受注率と粗利に置き換え、営業対応にかかる費用や残したい利益も差し引いたうえで、問い合わせ1件に払える上限を決めてください。初期費用や、問い合わせが増えるまでの数か月分の費用を回収できるかは、この上限とは別に、検討期間全体で計算します。
計算に使う問い合わせの増え方は前提とあわせて各社に聞き、示されなければ回収の見通しは未確定として稟議に書きます。稟議の資料に入れるのは、各社の作業内容と比べるときにそろえた条件、問い合わせ1件あたりに見込める粗利の計算です。推薦する会社と選んだ理由も添えます。
たとえば「費用は高いがサイトの修正作業まで含み、社内に修正できる担当者がいないため」のように自社の体制と見積もりの差を結ぶと、決裁者が金額の根拠を追えます。
見積書と契約書で見落としやすい3つの条件

金額の比較が終わっても、契約書の条件次第で後から困ることがあります。見積もりの時点で次の3つを押さえると、発注後の行き違いを減らせます。
順位を保証する文言がないか
見積書や提案書に、何位以内を保証するといった文言がある場合は注意が必要です。Googleは、SEO業者の選び方を説明したページで「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」と明記しています。保証の文言より、作業の中身と報告の方法が具体的に書かれているかを見ます。
制作した記事の著作権がどちらに残るか
記事制作を依頼する場合は、完成した記事の著作権の扱いを契約書で確かめます。著作権法では、著作権は原則として著作物を創作した側が持ち、契約によって全部または一部を譲渡できると定めています。SEO会社が執筆を外部のライターに再委託していると、著作権がライターに残っていることもあるので、SEO会社がライターから権利を譲り受けているかも聞いてください。
契約を終えた後も記事を書き直して使う予定があるなら、著作権を譲り受けるだけでは足りない場合があります。翻案などの権利と二次的著作物の利用に関する権利(第27条・第28条)は、譲渡の契約で明記していないと譲渡した側に残ると推定されます。
また、意に反する改変を拒める同一性保持権などの著作者人格権は、そもそも譲渡できません。第27条・第28条の権利も譲渡の対象に含むことを契約書に書いてもらい、改変できる範囲と条件も取り決めます。
外部のライターが書いた記事では、著作者人格権を持つのもライターです。SEO会社とライターの間でも改変を認める取り決めがあるか、SEO会社に聞きます。
分析ツールのアカウントを誰が持つか
Google Search ConsoleやGA4(Googleアナリティクス4)をSEO会社のアカウントで管理すると、契約終了後に権限を外され、データを見られなくなりかねません。Search Consoleの所有権とGA4の管理者権限は自社で持ち、SEO会社には必要な権限だけを付けます。Googleも、SEO業者から監査の提案を受けた段階では、Search Consoleに読み取り権限だけ(Search Consoleでは「制限付きユーザー」)を付けるよう案内しています。
まとめ
まず見積書のうち一式と書かれた行の内訳と、サイトの修正作業を誰が担うのかを各社に聞きましょう。作業範囲がそろったら、同じ検討期間の総額で比べ、自社の体制に合う会社を選んだ理由を稟議の資料にまとめます。
契約書では記事の著作権と分析ツールのアカウントの持ち主まで確かめ、契約を終えた後も記事とデータを使い続けられるようにします。
依頼先の探し方から知りたい場合は、外注先の選び方を解説した次の記事をご覧ください。